台風被害で保険請求をして修繕費ゼロで修理する方法【2021年版】

近年、夏から秋にかけて毎年大型の台風が日本列島を直撃しており、その被害も甚大なものとなっています。
この記事では、台風で被害を受けてしまった場合、加入されている保険をつかって修繕する方法についてお伝えしたいと思います。
「川が決壊して家ごと流されてしまった」
「台風の強風で屋根が吹き飛ばされた」
という様な大きな被害を受けられている方は、恐らくネット検索で保険の使い方などを調べたりしている余裕はないと思います。
なので、この記事では「とりあえず住める状態レベル」の損傷を受けて、修理をどうするべきか悩まれている方を想定して執筆していますので、ご参考になれば幸いです。
この記事の想定読者
- 台風で屋根が軽微な損傷を受けている(屋根のめくれ、浮き、瓦が数枚飛んだ、)
- 雨どいの破損
- 塀、門、雨戸、カーポートの破損、凹み、傾斜
など
「台風で建物に損害が出ているけど、とりあえず生活はできます」という方や、修理に多少の時間を要しても構わないという余裕があれば、この記事の内容はとてもお役に立つのではないかと思います。
目次
台風被害では火災保険が適用できる
まず、台風で建物に被害を受けてしまった場合に、保険で修理をすることができるのは
「火災保険」
になります。
火災保険に加入していれば、損害レベルに応じて補償を受けることができます。
台風による被害は、強風による「風災」と、洪水、土砂崩れなどによる「水災」の2つの補償を受けることができます。
火災保険の基本については、下記の記事をご参照ください。
「火災保険とは?補償内容、対象と対象外の災害など基本を解説!」
それぞれの内容について、もう少し解説していきます。
風災による損害
風災の判断基準は、最大瞬間風速によって定義されています。
「風速20m以上の風が3秒間」の強風で損害を受ければ「風災」として認定されます。
なので、台風が通過していれば、まず基本的には20m以上の風が吹いていると思って良いと思います。
強風によって被害を受ける例ですが、
・屋根瓦が飛んで(外れて)しまった
・屋根にメクレ、浮き、割れが見られる(下から見てわかる状態は、雨漏りの原因になります)
・屋根が破損しているみたいで、雨漏りがする
・雨どいが破損してしまった
・飛来物によって、雨戸や壁が凹んでしまった(穴が開いた)
・飛来物によって、門や塀が破損した
・強風で門や塀が傾いた
・強風でカーポートがメクれた、傾斜した
など
これらは一例に過ぎませんが、強風によっての損害は火災保険に加入していれば、補償を受けることができます。
ただし、経年劣化によるものは保険の対象外になります。
とはいえ、経年劣化か台風による損害かは素人に判断するのは難しいです。
台風通過後に破損があれば、経年劣化と自己判断をせず、専門家に一度見てもらうもの良いかと思います。
水災による損害
水災は、文字通り水による被害を受けた場合に適用されます。
ただし、水災は、風災の様に火災保険に入っていれば誰でも使える補償ではありません。
火災保険の中に、「水災補償」というものに別途加入している必要があります。
また、水災の認定を受けられる条件はほとんどの保険会社は下記の様に定めています。
・再調達価格の30%以上の損害を受けた場合
※新しく建築または購入に必要な金額
・床上浸水、または地盤面から45cmを超えて浸水した場合
※地盤面は家の基礎の最も低い部分を指します
簡単に言えば、床上浸水以上でないと使えないという理解で良いかと思います。
なので、
・近隣の川が決壊して、床上浸水した
・土砂崩れが発生して、家の中まで土砂が流れ込んだ
この辺りが、水災補償を使える最低ラインになるので、かなり重症な損害を受けていないと使えないと思った方が良いです。
ちなみに雨漏りは水災補償の補償項目ではありません。
強風が原因で、屋根が損害を受けて雨漏りしたような場合に、風災の補償として雨漏りも認定を受けることができます。
台風で修理できる事例を下記の記事にまとめてますのでご参照ください。
「【写真事例付き】火災保険は台風の被害でも申請できる?直せる事例を紹介」
台風被害で保険請求をする方法
火災保険を使うことによるデメリットはないのか?
まず、火災保険を使うことによるデメリットはないのか?
と最初に考えると思いますので、ここにお答えしたいと思います。
火災保険は、損害箇所の請求をしても、免責金が発生したり、車の保険の様に等級制度がある訳ではないので、保険料が上がったりすることはありません。
なので、せっかく保険料を払っているのであれば、使える理由があるのであれば使わない方がもったいないのです。
また保険を請求して認定されたお金は、お見舞い金の様な形で支払われますので、使い道も原則自由です。
必ず、申請した場所を直さなければならない約束はありません。
ただし、次の台風がきたからといって、修理していない箇所を同じ理由で申請することはできませんので、最低限の修繕はしておいた方が、長く住むことを考えて良いかとは思います。
修理した上で、また損害を受けた場合は保険の申請を再度することができます。
申請できる期限は、被害を受けてから3年になります。
「去年の台風だから…」という理由で諦めているのであれば、まだまだ申請の対象期間なので火災保険の利用をご検討されてみても良いと思います。
申請方法
申請方法は、保険屋さんに「火災保険を申請したい」旨の電話をしてください。
申請書など、必要書類を郵送してもらえます。
火災保険の申請には、素人では用意のできない書類があります。
・台風による損害である報告書
・損害箇所のわかる写真
・修理に必要な項目の書かれた見積書
特に風災被害は屋根周りであることが多く、屋根に登っての調査は素人がやるには危険が伴います。
また、見積書の作成などは、家の修理に詳しい業者でないと作成することは困難です。
上記の書類をすべて入手したら、あとは書類を保険会社に郵送すれば完了です。
保険会社による建物の鑑定が入ることもありますが、保険会社への説明も専門性が高くて難しいので、サポートしてくれる業者に相談してみてください。
あとは認定されれば、保険金があなたの口座に振り込まれます。
難しく感じるかもしれませんが、サポート業者を利用すれば驚くほど簡単にできます。
火災保険申請の流れについて、更に詳しくは下記の記事をご参照ください。
「火災保険の申請は自分でできる?保険金を受け取るまでの流れを解説」
業者の選び方
業者の選び方は、インターネットで検索して探すしか今のところ有力な方法はありません。
とはいえ、どこの業者も自分のところを選んでもらいたいので、良いところばかりをアピールしており、正直どこが良いのか中々判別がつきません。
なので、見るべきポイントをまとめてみました。
- 保険申請代行業社はダメ(火災保険の申請はあくまで加入者が行わなければならない)→申請サポートはOK
- 平均受給額はいくらか?→実績のなるべく高い業者が良い
- 「なるべくたくさん認定されるように保険屋さんと交渉します!」という業者はダメ(非弁行為にあたります)
- 担当者と話して「嘘の申告をして保険金を取りましょう!」という業者も当然ダメ(詐欺罪にあたります)
- 建物の調査費用は無料で、保険が認定されない限り費用請求のない業者は健全な傾向
- 成果報酬について、明確な記載のある会社(基本は成果報酬で30〜40%程度)
- リフォーム会社に火災保険申請のサポートをお願いするのはオススメできない
- 無料プレゼントに釣られない(Amazonギフト券プレゼントなど)
- 弁護士事務所と協力関係にあり、法律に遵守した対応をしてくれる業者
この辺りを見て業者選びをしてもらえれば、間違いはないと思います。
「そんなひとつずつ調べてる時間なんてない」
なんて場合は、火災保険申請サポート、リフォーム会社(火災保険申請サポーター付き)など10社を調べて比較検討してみました。
下記の記事を見ていただければ、業者決定はスムーズになるかと思いますので、ご参考ください。
「【オススメ決定】火災保険の申請サポート業者10社を比較!代行業者との違いや手数料の相場など解説」
詐欺業者には気をつけて
ここまでの説明で、詐欺業者に引っかかる可能性はだいぶ低いと思いますが、火災保険を使ったトラブル事例についても触れておきたいと思います。
近年、消費者センターへの相談として、火災保険を使ったリフォームを提案された詐欺というものが増えています。
ここ10年の相談増加数は実に30倍以上と急増しています。
近年は、台風による被害が増えているのも原因のひとつと考えられます。
特に、訪問営業、電話営業で火災保険の申請を勧誘してくる業者は要注意です。
訪問営業をしてくる業者は、台風被害の遭った地域に行き、程よい損害のありそうな家を訪問しては「無料で自宅の修理(リフォーム)をしませんか?」という勧誘をしてきます。
また、電話営業も、台風被害の遭った地域の電話番号リストに上から順番に電話をかけて「無料で自宅の修理(リフォーム)をしませんか?」という勧誘をしているのです。
一見、お得そうに見えますが、
「保険の認定の有無を問わず高額な工事費用を請求された」
「追加工事が必要と言われ、保険だけで修理できなかった」
「保険が認定されなかったのに、工事のキャンセルができなかった」
などのトラブル事例が多数あるので、業者選びは来たものを受けるのではなく、こちらから信頼できる業者を探しに行くことが大切です。
トラブル事例、詐欺に遭わない方法などをまとめてありますので、詳しくは下記をご参照ください。
「火災保険の申請代行で詐欺にあわない方法!「屋根の修理が無料でできます」に騙されない」
2019年の大型台風での被害状況
2019年は、5回の台風が日本列島に上陸をしました。
その中でも、甚大な被害が出た台風15号、台風19号の家屋に対する被害状況は下記の通りとなっています。
台風15号(房総半島台風)
単位:棟
都道府県 | 全壊 | 半壊 | 一部損害 | 床上浸水 | 床下浸水 |
福島県 | 1 | 5 | 6 | ||
茨城県 | 4 | 84 | 4,705 | 1 | |
栃木県 | 3 | ||||
埼玉県 | 15 | 1 | |||
千葉県 | 363 | 3,929 | 62,986 | 34 | 57 |
東京都 | 12 | 68 | 1,425 | 13 | 11 |
神奈川県 | 11 | 76 | 2,665 | 68 | 32 |
静岡県 | 47 | 480 | 2 | ||
合計 | 391 | 4,204 | 72,279 | 121 | 109 |
参考:総務省消防庁による建物被害情報(2019年12月23日15時時点)
「房総半島台風」と命名されており、名前の由来から90%の被害が千葉県に集中しており、特に南部の房総半島の被害は相当深刻なものでした。
台風19号(令和元年東日本台風)
単位:棟
都道府県 | 全壊 | 半壊 | 一部損害 | 床上浸水 | 床下浸水 |
北海道 | 4 | ||||
青森県 | 1 | 7 | 9 | ||
岩手県 | 41 | 790 | 788 | 144 | 953 |
宮城県 | 302 | 2,997 | 2,860 | 1,614 | 12,151 |
秋田県 | 8 | ||||
山形県 | 1 | 5 | 33 | 65 | 98 |
福島県 | 1,489 | 12,560 | 6,977 | 1,161 | 443 |
茨城県 | 146 | 1,601 | 1,501 | 27 | 523 |
栃木県 | 83 | 5,223 | 8,666 | 2 | 133 |
群馬県 | 22 | 296 | 572 | 22 | 112 |
埼玉県 | 134 | 541 | 699 | 2,370 | 3,388 |
千葉県 | 67 | 1,986 | 7,505 | 473 | 898 |
東京都 | 36 | 661 | 1,034 | 318 | 532 |
神奈川県 | 54 | 826 | 2,499 | 877 | 579 |
新潟県 | 3 | 9 | 48 | 25 | 278 |
富山県 | 6 | ||||
石川県 | 1 | ||||
福井県 | |||||
山梨県 | 2 | 3 | 74 | 1 | 6 |
長野県 | 920 | 2,505 | 3,479 | 5 | 1,407 |
岐阜県 | 11 | ||||
静岡県 | 8 | 12 | 495 | 967 | 1,312 |
愛知県 | 1 | ||||
三重県 | 8 | 23 | 50 | 64 | |
滋賀県 | 1 | 10 | |||
京都府 | 8 | ||||
大阪府 | |||||
兵庫県 | 4 | ||||
奈良県 | 2 | 3 | |||
和歌山県 | 1 | 1 | |||
鳥取県 | 3 | ||||
岡山県 | 2 | ||||
広島県 | 2 | ||||
山口県 | |||||
徳島県 | |||||
高知県 | 1 | 3 | |||
佐賀県 | |||||
大分県 | |||||
合計 | 3,308 | 30,204 | 27,320 | 8,129 | 22,892 |
参考:内閣府防災情報ページ令和元年台風第19号等に係る被害状況等について(4月10日9:00現在)
各地に豪雨をもたらした台風19号は「令和元年東日本台風」と命名されており、最大雨量は神奈川県箱根町で1,000ミリを超え、東日本を中心に500ミリを超える地域多数、最大瞬間風速は43.8メートルと関東地方の7箇所で40m超えを観測しています。
台風に伴う被害も甚大で、死者は104名、住宅の被害は約10万軒、河川の決壊は300にも及んだ歴史に残る被害をもたらしました。
2020年の大型台風の被害状況(随時更新)
2020年の台風については、更新され次第追記していきます。
まとめ
この記事では、「台風被害で保険の請求ができるのか?」
という解説をしてきました。
台風被害では、強風による「風災」、洪水などによる「水災」による損害箇所の補償を、火災保険の加入状況に応じてしてもらうことができます。
風災による被害は、火災保険の基本補償項目となっていますが、水災に関しては多くの火災保険会社は別途水災補償に加入する必要があります。
また、火災保険の申請期限は、被害を受けてから3年となっています。
火災保険は自動車保険のように等級制度ではない為、申請をしても保険金が上がることはありません。
また、受け取った保険金は、損害箇所の修理に必ずしも使わなければならないという決まりもなく、保険金の使い道は自由とされています。
こういった点から、せっかく加入されている火災保険であれば利用しない方がもったいないので、使える損害箇所があればドンドン使った方が良いです。
住宅は、長く住んでいると毎年のように台風などの暴風雨に晒されますので、屋根の上など実感のない損害が少なくともあるものです。
「うちは何ともない」
「どうせ経年劣化だよ」
と思い込まずに、大きな台風が通過した履歴があるのであれば、一度専門の業者に住宅の調査をしてもらうことをオススメします。
実際の保険の申請は、サポート業者を利用すればかなり簡単に済ませることができます。
台風による損害箇所の修繕や、定期的なメンテナンスは、家を長持ちさせる秘訣にもなりますので、この記事の内容がお役に立てたら幸いです。
火災保険申請のサポート業者の選び方の参考にしてみてください。
「【オススメ決定】火災保険の申請サポート業者10社を比較!代行業者との違いや手数料の相場など解説」
申請に関しては、下記の記事をご参照ください。
「火災保険の申請は自分でできる?保険金を受け取るまでの流れを解説」
以上です。
最後まで閲覧いただきありがとうございました。